SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?
~マダニと猫・人へのリスク、TNR活動に関わる皆さんへ~
◆ SFTSってどんな病気?
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:重症熱性血小板減少症候群)は、マダニが媒介するウイルス性感染症です。日本でも報告が増えており、ヒトでは高熱や倦怠感、嘔吐、重症化すると致死率が約3割にも達します。猫や犬などペットにも感染が確認されており、動物からヒトへの感染事例も報告されています。
◆ どんなときに注意が必要?
主な感染経路は、マダニに咬まれること。
最近の研究では、感染した猫から人へ(特に体液や血液に触れた場合)の感染も指摘されています。
特にTNR活動(野良猫の捕獲・不妊手術・元の場所へ返す活動)に従事する方や、体調不良の猫に接する獣医療関係者は、十分な注意が必要です 。
◆ TNR活動・現場でのリスク管理
● どんな猫がリスク?
SFTSに感染した猫の症状:
ぐったりしている
発熱
黄疸
血小板数の低下
このような症状が見られる場合、「TNR活動での受け入れには特に注意が必要」とされています 。
● 健康チェックの重要性
捕獲・搬送前に「元気かどうか」「食欲はあるか」などをしっかり確認しましょう。
本当にリスクを排除したい場合は、体温測定や、CBC(血球計算)、ヘマトクリット値による血液検査も有効です。
元気な猫で、上記の症状がなければ、SFTSのリスクはかなり低いと考えられます 。
● ダニ対策も必須
ダニから人にSFTSがうつるため、ダニがついている猫はなるべく除去してください。
スポット剤は有効ですが、完全な感染防御にはならないため注意が必要ですが、推奨します
● 防護具の使用・対応の工夫
ぐったりした猫・SFTSの疑いがある猫を扱う時は、マスク・ゴーグル・帽子などの個人防護具を必ず着用しましょう。
可能な限り隔離スペースや陰圧室での対応が望ましいです。
体調の悪い猫は、通常のTNR活動ではなく専門病院で診断・隔離を。
◆ 法整備と獣医師の役割
現場では「自己責任」とされやすい課題も多く、行政・議会レベルでの法整備の必要性も訴えられています。
獣医師は「公衆衛生を守る資格」であり、地域猫管理やTNR活動における感染症対策も大切な使命です 。
◆ 飼い主さん・地域の皆さまへ
ペットの定期的なマダニ予防、健康チェック、室内飼いの推奨が重要です。
不安な場合や体調不良時は、早めに動物病院・医療機関にご相談ください。
SFTSは「知ること・備えること」で防げる感染症です。みんなでリスクを減らして、動物と人の安心な共生を守りましょう!
まとめ
TNR活動や野良猫・外飼い猫の管理、また日常の診療現場でも、「猫の健康状態をしっかり確認し、ダニ対策・防護具着用を徹底すること」が、SFTS予防の最も大切なポイントです。
感染の可能性がある場合は、無理な対応をせず、必ず専門の施設や医療機関と連携しましょう。