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2025年9月18日木曜日



オーナーの皆様へ:大切な家族の健康を守るために


大切なご家族であるペットの健康は、飼い主さんにとって一番の願いですよね。日々のケアはもちろん、病気の早期発見や適切な予防が、彼らが健やかに過ごすために不可欠です。今回は、ペットの健康管理に役立ついくつかのポイントをご紹介します。

  1. 定期的な健康チェックのすすめ

定期的な健康診断は、病気のサインを見つける上で非常に重要です。採血検査やエコー検査、特定の病変に対するブラックライト検査など、様々な方法でペットの健康状態を詳しくチェックすることができます。特に、今まで問題がなかった腎臓の数値が急に上がることもありますので、継続的な確認が大切です。


  1. 毎日のお世話で気をつけたいこと

  • 予防薬の投与

    フィラリアやノミ・ダニの予防薬は、定期的に与えることが推奨されます。フィラリアの予防薬は基本的に安全とされていますが、妊娠中や後輩後の投薬については、安全な薬とそうでない薬があるため、必ず獣医師にご相談ください。

  • 食事と水分摂取

    体重管理は健康の基本です。食欲があることは良いサインですが、好きなものだけを食べる傾向がある場合もあります。腎臓病食など、特定の病気に対応した食事もありますが、好みに合わないこともあるため、獣医師と相談しながら最適な食事を見つけることが大切です。特に腎臓の機能が低下している場合は、十分な水分摂取が重要になります。お水を飲みやすくするために、形にしたり、自動給水器を使ったり、氷を浮かべたりと、工夫して飲ませることもできます。

  • 行動の変化に注意

    普段と違う行動には注意が必要です。例えば、朝だけ足がうまく動かない、おやつを食べない、うんちが柔らかい、といった変化は、何らかの体調不良のサインかもしれません。便の形や色、尿の状態なども日頃から確認し、気になることがあれば教えてください。

  • 感染症の予防

    稀に、人間からペットへ感染するウイルス(例:ノロウイルス)もあります。特に飼い主さんが体調を崩している場合は、ペットとの接触に注意し、もし感染が疑われる症状が出た場合は、早めに獣医師にご相談ください。


  1. 病気かな?と思ったら

  • 腎臓病の治療

    腎臓の数値が上がってしまうと、点滴治療が最も効果的で、飲み薬や食事療法も併用されることがあります。点滴は最終的に毎週数回行う必要がある場合もありますが、回数を重視して行うことで数値の改善が期待できます。腎臓病は一度悪くなると元に戻りにくいため、早期からの注意が必要です。

  • アレルギー性皮膚炎

    背中や耳の周りなどに赤いカサブタのような炎症が見られる場合、アレルギー反応である可能性があります。猫は意外と敏感なため、アレルギーが起こりやすいです。消毒薬や塗り薬で対処できることが多いので、気になる場合はご相談ください。

  • 体内の炎症

    体内で強い炎症が起きている場合、CRP(炎症反応タンパク)の数値が非常に高くなることがあります。発熱を伴うこともあり、原因を特定し、点滴や飲み薬で治療を進めることが重要です。


  1. 日頃の注意点

激しい運動は控え、安静に過ごすことが推奨される場合もあります。特に体調が優れない時は、無理をさせないようにしてください。


これらの情報は、大切なペットの健康を守るための一助となれば幸いです。何かご心配なこと、気になることがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。




2025年9月14日日曜日



獣医さんとの会話から見えてくる、大切な家族の健康管理 「うちの子、ちょっといつもと違う…?」そんな時、動物病院での獣医さんとの会話は、大切な家族の健康を守る上で非常に貴重な情報源となります。今回は、実際の診察での会話から見えてきた3つの症例をご紹介します。


症例1

ラオさんは、3回目の混合ワクチン接種のために動物病院を訪れました。ワクチン接種に際しては、飼い主さんのライフスタイルに合わせて選択肢が提示され、家の周りの散歩程度であれば6種混合ワクチンで十分な一方、山や川、自然豊かなドッグランへ行く可能性がある場合は10種混合ワクチンが推奨されました。最終的に、ラオさんには10種混合ワクチンが接種されました
診察では、日常生活で気になることとして「よく噛む」という飼い主さんの悩みが挙げられました。獣医さんによると、ラオさんはまだ乳歯が生え揃っておらず、噛む力が強く、噛み加減を教えても遊びの延長だと感じている可能性があるとのことです。噛み癖のしつけには、言葉が通じない小さなお子さんだと思って、根気強く「痛い」ことを教える必要があると説明されました。また、散歩中に他の子どもや高齢者に噛みついてしまうリスクがあるため、特に注意が必要であると促されました。噛み癖は生後3ヶ月頃(人間で言う5〜6歳)から伝え始めることが重要で、噛んで良いおもちゃを与えたり、手足を噛ませないようにすること、お座りなどのトレーニングも有効だとアドバイスされました

ワクチン接種後は3日経てば散歩に出られるようになるため、ノミ・マダニ・フィラリアの予防薬を飲ませることが勧められました。さらに、生後3ヶ月という時期は、他の犬との接し方を学ぶ「社会化」の時期として非常に重要であり、しつけ教室や保育園を利用して社会性を高めることが提案されました。しかし、ラオさんは他の犬に全く慣れておらず、まずは他の犬との距離を縮めることから始める必要がありました。また、足の裏の毛が伸びていると滑りやすくなるため、トリミングでの確認も勧められました。先住犬のラコさんとの関係性も話題に上がり、ラオさんがグイグイと追いかけるため、ラコさんがストレスを感じないよう長時間一緒にすることは避けるべきだと助言されました

症例2:マルさんの歯周病への対応
まず歯の診察では、歯石がかなり付着しており、飼い主さんが毎日歯磨きをしているにもかかわらず歯が黒ずんでいることが確認されました。特に、犬歯の歯茎が盛り上がって腫れている箇所や、前歯の歯茎の状態が悪いことが指摘されました。去年の11月末に歯の治療を受けた記録がありましたが、獣医さんからは年に1回の定期的な歯のケアが推奨され、手術の間隔が空きすぎると再び抜歯が必要になる可能性も示唆されました。獣医からは、歯科専門に診てもらい、飼い主さんが納得できる無理のない治療計画を立てること、また、看護師による歯磨き指導や犬用の歯ブラシ・歯磨き粉の使用が提案されました

症例3:くうちゃんの皮膚炎とストレス性症状
静かくうちゃんは、陰部と乳頭周辺の痒みを訴えて来院しました。最近、親族のコロナ感染による隔離や、飼い主さんの不在が続き、ストレスが溜まっている可能性が指摘されました。飼い主さんによると、夜中にひどく痒がって「お尻歩き」をし、鳴いて止まらないことがあったそうです。舐めすぎて出血している可能性もありましたが、出血箇所は特定できていませんでした
診察の結果、くうちゃんのお尻の肛門腺が溜まっており、お腹周りも赤くなっていることが確認されました。皮膚検査では、炎症細胞と細菌が見つかりました。過去にトリミングサロンで「乾燥肌」であると指摘されたことがあり、皮膚が弱い可能性が考えられました。乾燥しやすい子は皮膚の下にトラブルを抱えていることが多く、獣医さんからは、まず保湿や飲み薬で皮膚の状態を改善することが提案されました。また、エアコンの効いた部屋で過ごしていることが、皮膚の乾燥を助長している可能性も指摘されました。皮膚トラブルの根本的な原因に対処するためには、環境改善だけでなく、皮膚自体の治療も必要と説明されました

治療方針として、肛門腺を絞り、舐めても安全な消毒液と飲み薬が処方されました。舐めすぎると皮膚がさらに悪化するため、舐めさせないようにマナーベルトの着用が勧められましたが、肛門腺を絞る際に痛みがあることから、着用は禁止となりました。シャンプーやトリートメントの見直し、シャワーヘッドの工夫なども提案されました。くうちゃんの膝が抜けている可能性があることもトリミングサロンで指摘されており、今後の診察で確認することになりました。獣医さんからは、皮膚炎の治療には2〜3週間、場合によっては1ヶ月半かかることもあると説明されました。治療開始から1週間後に再診察の予定が組まれました

日常の診察の一部の紹介です。何もない日を積み重ねるのが、医療の力です。


2025年9月13日土曜日

ペットオーナー必見:健康を守るためのやさしいガイド

大切な家族であるペットが、いつまでも元気に過ごせるように。

当院でよくあるご相談をもとに、予防医療の基本から身近な不調への対応までをわかりやすくまとめました。



1. 予防医療:健康維持の基本


ワクチン接種

ワンちゃん(6種混合ワクチン8種ワクチン10種混合ワクチン)のネコちゃん(3種ワクチン、5種ワクチン)のワクチン接種はも行っています。ペットの生活環境や活動レベルに応じて、など、最適な種類をご提案いたします。例えば、山や川、自然豊かなドッグランへよく行く場合は10種が推奨されますが、家の周りの散歩程度であれば6種で十分とされています。ワクチン接種後も、体調の変化にご注意いただき、安静にしていただくようお願いしています。


寄生虫予防と駆虫

散歩に出かける機会が増える幼齢期から、ノミ・マダニ、フィラリア、お腹の虫などの寄生虫予防薬の投与をお勧めしています。予防薬には、これらの寄生虫にまとめて対応できるオールインワンタイプの内服薬もあり、生活スタイルに合わせて選択可能です。特に草むらや山間部ではノミ・マダニが多く生息しているため、予防が非常に重要です。



2. 一般的な診察と治療


眼科疾患

目の診察では、まぶたの腫れ(マイボーム腺炎など)や充血、炎症がよく見られます。また、色素沈着の進行や、まれにメラノーマなどの悪性腫瘍の可能性も考慮し、定期的な経過観察を行っています。治療には、点眼薬、抗生剤、消炎剤、軟膏などを状態に合わせて処方し、時には手術が必要となる場合もあります。


皮膚科・耳科疾患

皮膚のかゆみ炎症乾燥肌肛門腺のトラブル耳の赤み耳垢など、皮膚・耳に関する様々な症状に対応しています。原因としては、ストレス、アレルギー、細菌感染などが考えられます。治療には、飲み薬(抗生剤、消炎剤)、消毒薬、塗り薬の他、保湿剤や皮膚の状態に合わせたシャンプー・トリートメント、シャワーヘッドの変更などもご提案することがあります。重度の場合は専門的な検査(皮膚検査、血液検査)を行うこともあります。


消化器疾患

下痢嘔吐食欲不振などの症状は、消化器系の問題が考えられます。異物誤飲の可能性があればレントゲン検査や内視鏡、手術が必要となることもあります。ジアルジアなどの寄生虫感染や細菌感染、アレルギー、膵炎などが原因となることもあり、血液検査やエコー検査、便検査などで診断を行います。治療は、点滴、吐き気止め、整腸剤、抗生剤、食欲増進剤などの投薬や、食事内容の変更(手作り食、療法食など)を通じて行われます。


整形外科疾患(膝蓋骨脱臼など)

ワンちゃんの膝の疾患として、膝蓋骨脱臼(パテラ)の診断と治療を行っています。膝蓋骨脱臼はグレード1から4までの段階があり、遺伝的要素も強いため、特に繁殖を考えている場合は慎重な判断が必要です。触診やレントゲン検査でグレードを評価し、症状や飼い主様の希望に応じて、手術の適応や経過観察の方針を決定します。



予防は最大の治療です。ワクチンと寄生虫対策を生活環境に合わせて計画しましょう。気になる症状が出たら自己判断せず早めの受診を。原因の見極めと適切な治療が回復を早めます。診療や費用、ケアの方法は個々の子で最適解が異なります。不安や疑問はいつでもご相談ください。



(ブログ掲載用に編集しています。院内方針や料金、詳しいスケジュールはお問い合わせください。)






2025年9月3日水曜日

犬猫の「心臓の診察」って何をしているの?


心臓の診察は、聞く(問診)→見る(視診)→触る(触診)→聴く(聴診)の順で情報を集め、パズルのように組み合わせて原因を探します。ここでは、病院で実際に何をするのか、そしておうちで気づいてほしいサインを分かりやすくまとめます。



1) まずお聞きします(問診)

飼い主さんからの情報がいちばん大切です。

  • 咳や呼吸:いつから?どんな時に出る?(猫の咳は少なめですが、呼吸が苦しそうなら緊急のことがあります)

  • ふらつき・失神:一瞬意識を失う、倒れるなどがあれば心臓のリズム異常が疑われます。

  • お腹の張り・体重の変化:急にお腹がふくらむ、食欲はあるのに痩せるなどは、体に水がたまるタイプの心不全で見られることがあります。

  • 運動時の変化:散歩を嫌がる、すぐ疲れる、階段を避ける など。


いただいた情報は、このあとの診察(聴診や触診)で確かめる大切な手がかりになります。


2) 次に「見て」確認します(視診)

  • 呼吸の様子:口を開けて息をする/息が速い/座ったまま首を伸ばして呼吸する…は要注意(肺に水がたまる・胸に水がたまる などの可能性)。

  • 歯ぐきや舌の色紫っぽい(チアノーゼ)白っぽいときは、体に十分な血や酸素が回っていないサイン。

  • 首の血管:首の血管がどくどく目立つと、体に水がたまりやすいタイプの心不全を疑います。


3) 体に触れて確かめます(触診)

  • 胸に手を当てる:心臓の鼓動の強さ・位置、胸に振動を感じるほどの強い雑音がないかを確認します。

  • お腹(腹部):水がたまっていないか(腹水)、肝臓が大きくなっていないかをチェック。

  • 足の付け根の脈(大腿動脈):脈の強さ、左右差、リズムの乱れ(脈が飛ぶ)をみて、不整脈の手がかりにします.


4) 聴診器で「心臓と肺の音」を聴きます(聴診)

  • 心拍数とリズム:速すぎる/遅すぎる/不規則などがないか。

  • 心雑音:どの場所で、どれくらいの強さかで、弁の逆流などのヒントになります。強い雑音がある場合は、レントゲンや心エコーなどの精密検査をご提案します。

  • 三拍子の心音(ギャロップ):特に猫で心臓病の重要なサインです。

  • 肺の音:ゼロゼロ・パチパチ音がないかも確認し、肺水腫や胸水の手がかりにします。


受診を急いでほしいサイン(緊急)

  • 口を開けての呼吸(特に猫)/息がとても速い・苦しそう

  • 歯ぐきが紫っぽい/真っ白に見える

  • ふらつきや失神があった

  • 急にお腹が張ってきた

  • 眠っているときでも呼吸数が1分で40回以上(目安)

    ※呼吸数の測り方:胸の上下を30秒数えて×2します。


おうちでできること

  • 安静:ジャンプや走り回りを控える。

  • 動画を撮る:咳や呼吸の様子をスマホで撮って見せてください。受診時の手がかりになります。

  • 環境:室温・湿度を快適に。興奮やストレスを避ける。

  • 記録:飲水量・食欲・体重・投薬の時間をメモ。


よくある質問


Q. 心雑音がある=すぐ手術ですか?

A. いいえ。多くは薬でコントロールします。必要に応じてレントゲン・心エコー・血圧などを行い、最適な治療を選びます。


Q. 咳は全部、心臓が原因ですか?

A. いいえ。気管や肺の病気でも咳は出ます。心臓かどうかは診察と検査で見分けます。


Q. お腹が出てきました。太っただけ?

A. 脂肪の場合もありますが、水(腹水)がたまることも。触診と画像検査で確認します。


まとめ

  • 心臓の診察は「聞く→見る→触る→聴く」を組み合わせ、原因に近づきます。

  • 早めの相談と適切な検査・治療で、苦しさを軽くし、良い生活を保つことができます。

  • 迷ったら、まずはお電話やWeb予約でご相談ください。写真・動画があると診断の助けになります。


本記事は一般的なご案内です。診断や治療は、実際の診察のうえで決定します。
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