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2025年9月3日水曜日

犬猫の「心臓の診察」って何をしているの?


心臓の診察は、聞く(問診)→見る(視診)→触る(触診)→聴く(聴診)の順で情報を集め、パズルのように組み合わせて原因を探します。ここでは、病院で実際に何をするのか、そしておうちで気づいてほしいサインを分かりやすくまとめます。



1) まずお聞きします(問診)

飼い主さんからの情報がいちばん大切です。

  • 咳や呼吸:いつから?どんな時に出る?(猫の咳は少なめですが、呼吸が苦しそうなら緊急のことがあります)

  • ふらつき・失神:一瞬意識を失う、倒れるなどがあれば心臓のリズム異常が疑われます。

  • お腹の張り・体重の変化:急にお腹がふくらむ、食欲はあるのに痩せるなどは、体に水がたまるタイプの心不全で見られることがあります。

  • 運動時の変化:散歩を嫌がる、すぐ疲れる、階段を避ける など。


いただいた情報は、このあとの診察(聴診や触診)で確かめる大切な手がかりになります。


2) 次に「見て」確認します(視診)

  • 呼吸の様子:口を開けて息をする/息が速い/座ったまま首を伸ばして呼吸する…は要注意(肺に水がたまる・胸に水がたまる などの可能性)。

  • 歯ぐきや舌の色紫っぽい(チアノーゼ)白っぽいときは、体に十分な血や酸素が回っていないサイン。

  • 首の血管:首の血管がどくどく目立つと、体に水がたまりやすいタイプの心不全を疑います。


3) 体に触れて確かめます(触診)

  • 胸に手を当てる:心臓の鼓動の強さ・位置、胸に振動を感じるほどの強い雑音がないかを確認します。

  • お腹(腹部):水がたまっていないか(腹水)、肝臓が大きくなっていないかをチェック。

  • 足の付け根の脈(大腿動脈):脈の強さ、左右差、リズムの乱れ(脈が飛ぶ)をみて、不整脈の手がかりにします.


4) 聴診器で「心臓と肺の音」を聴きます(聴診)

  • 心拍数とリズム:速すぎる/遅すぎる/不規則などがないか。

  • 心雑音:どの場所で、どれくらいの強さかで、弁の逆流などのヒントになります。強い雑音がある場合は、レントゲンや心エコーなどの精密検査をご提案します。

  • 三拍子の心音(ギャロップ):特に猫で心臓病の重要なサインです。

  • 肺の音:ゼロゼロ・パチパチ音がないかも確認し、肺水腫や胸水の手がかりにします。


受診を急いでほしいサイン(緊急)

  • 口を開けての呼吸(特に猫)/息がとても速い・苦しそう

  • 歯ぐきが紫っぽい/真っ白に見える

  • ふらつきや失神があった

  • 急にお腹が張ってきた

  • 眠っているときでも呼吸数が1分で40回以上(目安)

    ※呼吸数の測り方:胸の上下を30秒数えて×2します。


おうちでできること

  • 安静:ジャンプや走り回りを控える。

  • 動画を撮る:咳や呼吸の様子をスマホで撮って見せてください。受診時の手がかりになります。

  • 環境:室温・湿度を快適に。興奮やストレスを避ける。

  • 記録:飲水量・食欲・体重・投薬の時間をメモ。


よくある質問


Q. 心雑音がある=すぐ手術ですか?

A. いいえ。多くは薬でコントロールします。必要に応じてレントゲン・心エコー・血圧などを行い、最適な治療を選びます。


Q. 咳は全部、心臓が原因ですか?

A. いいえ。気管や肺の病気でも咳は出ます。心臓かどうかは診察と検査で見分けます。


Q. お腹が出てきました。太っただけ?

A. 脂肪の場合もありますが、水(腹水)がたまることも。触診と画像検査で確認します。


まとめ

  • 心臓の診察は「聞く→見る→触る→聴く」を組み合わせ、原因に近づきます。

  • 早めの相談と適切な検査・治療で、苦しさを軽くし、良い生活を保つことができます。

  • 迷ったら、まずはお電話やWeb予約でご相談ください。写真・動画があると診断の助けになります。


本記事は一般的なご案内です。診断や治療は、実際の診察のうえで決定します。
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