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2025年9月14日日曜日



獣医さんとの会話から見えてくる、大切な家族の健康管理 「うちの子、ちょっといつもと違う…?」そんな時、動物病院での獣医さんとの会話は、大切な家族の健康を守る上で非常に貴重な情報源となります。今回は、実際の診察での会話から見えてきた3つの症例をご紹介します。


症例1

ラオさんは、3回目の混合ワクチン接種のために動物病院を訪れました。ワクチン接種に際しては、飼い主さんのライフスタイルに合わせて選択肢が提示され、家の周りの散歩程度であれば6種混合ワクチンで十分な一方、山や川、自然豊かなドッグランへ行く可能性がある場合は10種混合ワクチンが推奨されました。最終的に、ラオさんには10種混合ワクチンが接種されました
診察では、日常生活で気になることとして「よく噛む」という飼い主さんの悩みが挙げられました。獣医さんによると、ラオさんはまだ乳歯が生え揃っておらず、噛む力が強く、噛み加減を教えても遊びの延長だと感じている可能性があるとのことです。噛み癖のしつけには、言葉が通じない小さなお子さんだと思って、根気強く「痛い」ことを教える必要があると説明されました。また、散歩中に他の子どもや高齢者に噛みついてしまうリスクがあるため、特に注意が必要であると促されました。噛み癖は生後3ヶ月頃(人間で言う5〜6歳)から伝え始めることが重要で、噛んで良いおもちゃを与えたり、手足を噛ませないようにすること、お座りなどのトレーニングも有効だとアドバイスされました

ワクチン接種後は3日経てば散歩に出られるようになるため、ノミ・マダニ・フィラリアの予防薬を飲ませることが勧められました。さらに、生後3ヶ月という時期は、他の犬との接し方を学ぶ「社会化」の時期として非常に重要であり、しつけ教室や保育園を利用して社会性を高めることが提案されました。しかし、ラオさんは他の犬に全く慣れておらず、まずは他の犬との距離を縮めることから始める必要がありました。また、足の裏の毛が伸びていると滑りやすくなるため、トリミングでの確認も勧められました。先住犬のラコさんとの関係性も話題に上がり、ラオさんがグイグイと追いかけるため、ラコさんがストレスを感じないよう長時間一緒にすることは避けるべきだと助言されました

症例2:マルさんの歯周病への対応
まず歯の診察では、歯石がかなり付着しており、飼い主さんが毎日歯磨きをしているにもかかわらず歯が黒ずんでいることが確認されました。特に、犬歯の歯茎が盛り上がって腫れている箇所や、前歯の歯茎の状態が悪いことが指摘されました。去年の11月末に歯の治療を受けた記録がありましたが、獣医さんからは年に1回の定期的な歯のケアが推奨され、手術の間隔が空きすぎると再び抜歯が必要になる可能性も示唆されました。獣医からは、歯科専門に診てもらい、飼い主さんが納得できる無理のない治療計画を立てること、また、看護師による歯磨き指導や犬用の歯ブラシ・歯磨き粉の使用が提案されました

症例3:くうちゃんの皮膚炎とストレス性症状
静かくうちゃんは、陰部と乳頭周辺の痒みを訴えて来院しました。最近、親族のコロナ感染による隔離や、飼い主さんの不在が続き、ストレスが溜まっている可能性が指摘されました。飼い主さんによると、夜中にひどく痒がって「お尻歩き」をし、鳴いて止まらないことがあったそうです。舐めすぎて出血している可能性もありましたが、出血箇所は特定できていませんでした
診察の結果、くうちゃんのお尻の肛門腺が溜まっており、お腹周りも赤くなっていることが確認されました。皮膚検査では、炎症細胞と細菌が見つかりました。過去にトリミングサロンで「乾燥肌」であると指摘されたことがあり、皮膚が弱い可能性が考えられました。乾燥しやすい子は皮膚の下にトラブルを抱えていることが多く、獣医さんからは、まず保湿や飲み薬で皮膚の状態を改善することが提案されました。また、エアコンの効いた部屋で過ごしていることが、皮膚の乾燥を助長している可能性も指摘されました。皮膚トラブルの根本的な原因に対処するためには、環境改善だけでなく、皮膚自体の治療も必要と説明されました

治療方針として、肛門腺を絞り、舐めても安全な消毒液と飲み薬が処方されました。舐めすぎると皮膚がさらに悪化するため、舐めさせないようにマナーベルトの着用が勧められましたが、肛門腺を絞る際に痛みがあることから、着用は禁止となりました。シャンプーやトリートメントの見直し、シャワーヘッドの工夫なども提案されました。くうちゃんの膝が抜けている可能性があることもトリミングサロンで指摘されており、今後の診察で確認することになりました。獣医さんからは、皮膚炎の治療には2〜3週間、場合によっては1ヶ月半かかることもあると説明されました。治療開始から1週間後に再診察の予定が組まれました

日常の診察の一部の紹介です。何もない日を積み重ねるのが、医療の力です。


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